ダーカンプの夢の跡

After the Dream of DARCOMP ブロガーによるリレー形式小説です。先の展開も結末もその時の書き手によって変わるストーリーを書いてます

6. ビールに関しての雑学なんてどこで勉強したのだろう

爆音の中で静かに頷いた僕は、しっかりと手を掴んだまま一歩ずつ人混みをかき分けた。

 

カウンターがひどく遠く感じた。

 

この部屋が熱いせいではない、人の熱気でもない、ぼくは自分の心臓が高鳴るのを感じていた。カウンターに着くと、アカネちゃんが僕を見ながら言う。

 

アカネ「少し酔っちゃったかな、けっこう飲んだし。軽いの飲みたいな。」

 

20歳の僕は、よくわからないカタカナのお酒と、ハイネケンを頼んだ。ハイネケンを手に取り、カタカナのお酒を渡す。

 

アカネ「ハイネケンってさ、ビールなんだよね?どこで作ってるんだっけ?イギリス?」

 

ぼく「ハイネケンはオランダだよ。オランダのビール会社。緑のボトルね。」

 

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ビールに関しての雑学なんて、いつ勉強したのだろう。たしか現代社会の先生が授業中に言っていたことを熱心に聞いて覚えたのだと思う。

 

アカネ「大輔くん、くわしいね。すごい!わたしね、いつかヨーロッパに行ってみたいの、ヨーロッパでね、道沿いで音楽とか聞いてみたいの。英語勉強したらさ、役に立つのかなって思って。大輔くんって、海外に行ったことある?」

 

無邪気に笑いながら、自分の夢とか目標を語る姿に、ぼくは少しずつ飲み込まれていく気がした。たぶん、この子と付き合ったら楽しいんだろう、なんてことを考えていた。

 

ぼく「海外は行ったことないなー。飛行機には乗った事あるけど。沖縄まで。」

 

アカネちゃんは行ったことある?と聞こうとして、止めてしまった。何度も海外旅行をしたことがあるなんて聞いてしまったら、一気に現実に戻されそうな気がしたから。できれば、英語が好きなだけの女の子であってほしかった。

 

アカネ「わたしはね、こないだ初めて韓国いってきたよ!サムギョプしゃルおいしかったー」

 

噛みながら言い、ぼくに笑いかける。このまま好きになってしまいそうだった。できれば、この夜を止めてよ、そう思っていた。

 

少し酔い始めたぼくは、ヒデとミユキのいるほうを眺めた、思いがけない光景だった。

ダーカンプの夢の跡って?
ブロガーによるリレー形式の長編小説。順番に書き手が思うがままに物語の続きを書いていくことで成立する筋書きのない物語です。書いている私たちにもその行く末は全く予想ができない、そんな試みです。
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