ダーカンプの夢の跡

After the Dream of DARCOMP ブロガーによるリレー形式小説です。先の展開も結末もその時の書き手によって変わるストーリーを書いてます

9. 真夜中のクラブで事件は起こる

あんな出来事にすべてを塗りつぶされてしまうなんて思っていなかったから。

 

周りの人の入れ替わりが少し激しい。さっきまでいた人たちとは違う人をよく見ているような気がする。

 

特にホールの真ん中に来ると別の場所に来たような感覚になる。

 

今って何時だろうか、ふと右手に付けた時計を覗くともう夜中の0時を通り越している。

 

「フォーーーーー!!」

 

ヒデが大声をあげる、と同時にBRUNO MARSの"THAT'S WHAT I LIKE"のリミックスが流れる。クラブ全体が熱気とベース音で少し揺れる。

 

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僕は相変わらずアカネちゃんの手を取ったまま、ぎこちないながらも音に合わせて身を揺らしていた。

 

日常の何もかもリセットされていく感覚。

 

遊ぶことをあまりしていなかった自分にとって、今日くらいは楽しみたいという想いが強くなっていく。その気持ちの高ぶりは単純に僕の中から湧き上がってくるものと、握った手から伝わる高揚感みたいなものだった。そんな気がする。

 

アカネ「で、何の動物か分かった?」

 

ん?という顔でアカネの方を向き直す。

 

「あ、もうさっきの話忘れたんだ」

 

「いやいや、ちょうど考えてたとこだから」

 

「犬と猫以外は飼っちゃいけないなんて法律どこにもありませーん、だ」

 

お酒が入ると、初めて会った時とは別人のように饒舌になるアカネ。

 

そのことに気づいていた自分も少しだけそのアカネのペースに合わせようとしていた。友達としての距離がだんだん近づいていく。一気にお互いを知っていくような感覚に戸惑いながらも、無意識のうちについて行こうとする自分がいた。

 

 

 

キャっ

 

 

アカネの身体が一瞬ぐらついた。

 

とっさに身体を引き込む大輔。

 

「大丈夫か??」

 

「うん、平気」

 

いきなり酔っ払いに肩をぶつけられたのだ。本人は悪気がないのか、全く気にせずにカウンターの方へ向かう。

 

「アカネちゃん、大丈夫。いいよ、あんなヤツ気にしなくて」

 

「周り見えてないんだね、でもちょっとは気をつけてほしいよね」

 

楽しい時間が続いていたからこそ、余計にその瞬間を途切れさせられた気持ちになりついカッとなりそうになる。

いや、こんなところで喧嘩になってもだれも喜ばない。

 

 

 

「あれ、?」

 

 

 

 

「ん?どうしたアカネちゃん?」

 

 

 

「財布、ないかも・・・」

 

 

一瞬パニックになる。

 

「え?財布?さっきまであったよね?」

 

「うん、さっきのお店から出るときは確かにあったはず。えーどうしよどうしよ。」

 

少しパニックになりそうだったアカネの手を引っ張ってヒデとミユキの元に向かう。

 

事情を把握した二人と一緒に一旦クラブの外に出た。

ダーカンプの夢の跡って?
ブロガーによるリレー形式の長編小説。順番に書き手が思うがままに物語の続きを書いていくことで成立する筋書きのない物語です。書いている私たちにもその行く末は全く予想ができない、そんな試みです。
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