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ダーカンプの夢の跡

After the Dream of DARCOMP ブロガーによるリレー形式小説です。先の展開も結末もその時の書き手によって変わるストーリーを書いてます

10. 一生忘れられない日になりそうな気がする

事件を把握した二人と一緒に一旦クラブの外へ出た。

 

ホールの真ん中あたりで踊っているときに人とぶつかり、その後で財布が無いことに気が付いたのだ。慌ててヒデとミユキに話しかけ、4人で外へ出た。

 

ヒデ「おい、どういうこと?財布?すられたってこと?」

 

どうやらそういうことらしい、と伝え状況を説明する。ひとまずどうしていいかわからないまま、4月とはいえ深夜の外は相当寒いためコンビニに逃げ込むことにした。

 

ぼく「いやー、なにがあったんだろ?もう酔いも一気に冷めたね。とりあえず、あったかいものでも飲もう。」

 

ぼくの提案に言葉を失ったアカネもうなづく。すこしでも元気をだしてほしい、そう願うばかりだ。大切なものを入れていただろうし、財布を失くすことなんて滅多にないと思う。アカネは几帳面な性格なのだろう。

 

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ミユキ「アカネ!だいじょぶやって!お金貸すからさ!」

 

そう言いながら財布を取り出し、1000円札が2枚しか入っていない財布をみて、舌をだす。ミユキはそのまま僕とヒデの方を見る。ヒデは僕に目線をずらす。

 

ぼく「あ、お金、貸そうか?」

 

あたたかいコーヒーをすすりながら、クラブに置いてきた荷物を取り戻し、寒い夜の街を歩きだす。どこへ行くと決めてはいなかったが、4人とも意気消沈していた。24時間オープンのファミレスを見つけて、もう少し話をしようと入ることにした。時刻は深夜2時ごろだろうか。時計は見ていなかったが、終電が無いと気が付いてから少し踊っていたころに事件が起きた。

 

ヒデ「そろそろ眠くなってきたね。あーなんか今日は一生忘れられない日になる気がする。」

 

楽天的なヒデの言葉は嬉しかった。ミユキも少しずつ笑顔を取り戻していた。タクシーで帰るか、始発を待つか、そんな話題になったとき、ヒデとミユキの家が近いことが判明した。アカネとぼくは同じ方向。渋谷からタクシーを使ったことはない、けれど意気消沈したアカネは早く家に帰って休んだほうがいいと思った。

 

ぼく「始発まつ?タクシー使って帰る?」

 

ヒデとミユキがその言葉待ってましたと言わんばかりに顔を見合わせた。帰ろう、同じ方向ならタクシーを使っても大丈夫、そういっていた。アカネはぼくらの提案にうなづき、ヒデとミユキを見送る。二人が帰ると、突然虚しさが増す。まだあたりは暗い。

 

アカネ「ごめんね、ほんと。迷惑かけちゃって。また遊んでね。今日ほんと楽しかった。」

 

こちらこそ、とクールに話しかけた。元気になってほしかったけど、正直なところ普段遭遇したことのないことに疲れていたし、変に明るいのも悪いと思った。また会いたい、そう思う気持ちはもちろんあったけど、お金が返ってこなくてもいいや、という気持ちもあった。

 

ぼく「帰ろうか、そろそろ。途中でぼくが先に降りるから、家まで送ってもらいなよ。5000円貸すからさ。」

 

そこまで言った後、アカネが驚くことを言ってきた。一生忘れられない日になる気がする。そう言ったヒデの言葉が思い浮かんだ。

ダーカンプの夢の跡って?
ブロガーによるリレー形式の長編小説。順番に書き手が思うがままに物語の続きを書いていくことで成立する筋書きのない物語です。書いている私たちにもその行く末は全く予想ができない、そんな試みです。
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