読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ダーカンプの夢の跡

After the Dream of DARCOMP ブロガーによるリレー形式小説です。先の展開も結末もその時の書き手によって変わるストーリーを書いてます

11. 自分なりの精一杯の平静を装ったつもり

そこまで言った後、アカネが驚くことを言ってきた。一生忘れられない日になる気がする。そう言ったヒデの言葉が思い浮かんだ。

 

期待しているつもりはなかったけれど、また遊びたいという気持ちになっていた。クラブで終電を逃し、財布をスリに盗まれたアカネにお金を貸し、タクシーで途中まで帰ろうとしていたところだった。

 

アカネ「ねえ、大輔くんて、一人暮らしだよね?泊まれたり・・・しない?」

 

一瞬思考が止まる、思いもよらない言葉だった。ハトが豆鉄砲をくらったような顔をしていたと思う。

 

ぼく「おお、いいよ。くる?寒いかもだけど。」

 

自分なりの精一杯の平静を装ったつもりだった。大学に入学してからの1年、ほとんど自宅に友達を入れたことはなかった。あまり得意でないのだ、自分の場所に人が入ってくるのが。それでも、アカネなら大丈夫、なんとなくの自信があった。自分の方の一方的な。

 

アカネ「ほんと?ありがとっ!じゃあお邪魔しますっ!」

 

急に明るくなるアカネに驚きながら、一緒にタクシーをひろった。僕の家までは2000円弱だった。思っていたより近いことと、タクシーにあまり乗ったことがないことに気が付いた。タクシーなんて贅沢だ、そんな思考が正直ある。アカネもあまり慣れていないようだった。

 

f:id:summersunday:20170419200040j:plain

 

家に着くまでのタクシーの中、なんだか照れくさくなり、何を話していいかわからなかった。アカネも緊張している様子だった。家に来てくれることで喜んでくれるなんて思っていなかったから、財布を取られて落ち込んだ顔から笑顔が見られて嬉しかった。

 

ぼく「あんまり綺麗じゃないでしょ。一人暮らしで。」

 

コンビニに寄って明日の朝ごはんを買い、アカネの歯ブラシを買った。コンビニの店員さんには、カップルだと思われるんだろうかと思いながら買い物をしていた。

 

アカネ「ううん、すごいキレイ。わたしの部屋もっと汚いもん。こんどうち泊まりにきてもいいよ。実家だけど。」

 

冗談のような、無邪気に笑いかけるアカネに、精一杯の平静を装う。実家ってことは、親公認?冗談の妄想が膨らんでいく。早くお風呂に入って寝たかった。正直な気持ちだけれど、帰宅してすぐに風呂に入りだしていいのだろうか、気まずい時間が続く。

 

気まずい時間をなんとか打破したいと思いつつ、なにをしてよいかわからなかった。

ダーカンプの夢の跡って?
ブロガーによるリレー形式の長編小説。順番に書き手が思うがままに物語の続きを書いていくことで成立する筋書きのない物語です。書いている私たちにもその行く末は全く予想ができない、そんな試みです。
▶︎第一話から読みたい方はこちら