ダーカンプの夢の跡

After the Dream of DARCOMP ブロガーによるリレー形式小説です。先の展開も結末もその時の書き手によって変わるストーリーを書いてます

12. フィニッシュできる腕がない

気まずい時間をなんとか打破したいと思いつつ、なにをしてよいかわからなかった。

 

とりあえず、できるだけ明るい話題をふった。さすがに財布を盗られたことで落ち込んでいるに違いない。僕に気を遣わせまいと明るく振る舞っているようにも見える。

 

ぼく「ヒデとみゆきちゃんけっこう盛り上がってたね。クラブも久しぶりに行くと楽しいな。」

 

そうだね、と答えて眠くなったのだろうか、案内したワンルームの狭い部屋のベッドに腰掛け、うなだれる。時計をよくみてなかったけど、もしかしたらもうすぐ明るくなる時間かもしれない。眠い・・・。

 

ぼく「眠くない?どうする?おふろ?」

 

シャワーというと、変な意味になりそうで、お風呂と表現してみた。気にし過ぎだ。アカネは今晩すこしうちで寝てから、電車で帰れる時間になったら出ていく、はずなのだ。まあ大学生で新学期も始まっていない、バイトも無かった。家に誰かが居るのはすきだ。もともとおしゃべりなのかもしれない。ただ、なんとなく周りに合わせるのが苦手で、いつしか感情を表に出さなくなっただけだ。

 

アカネ「うん、おふろ?はいれるの?シャワー?すっぴん見られちゃうね。」

 

へへっと笑い、そそくさと風呂場のほうへ歩き出す。なんだか自分でも驚くほど、オープンな性格なのだろうか。お酒のせいでもあってほしい。

 

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アカネ「一緒に入る?」

 

遠くから声が聞こえて、ぼくは聞こえないフリをすることにした。僕の家だというのに、僕の方が緊張している。おかしい。コンビニで買ったジュースを流し込む。プリンも買っておいた。最近のコンビニスイーツは想像以上においしい。しばらくすると、シャワーの音が聞こえてきた。どこかホっとする。おもむろにテレビをつける。半分くらいが砂嵐だ。

 

長らく時間がすぎる。やっぱり女の子だ。お風呂がながい。先に寝るわけにもいかず待つ。いろいろなことがよぎる。あれこれと想像を膨らませるのだが、ぼくにフィニッシュできる腕がないという結論にいたる。

 

アカネ「ひゃーさっぱり。ごめんね、ほんと。心配かけちゃって。明日って早いの?」

 

いや、バイトもないから暇。とだけ答える。

 

アカネ「そっか。じゃあゆっくり寝させてもらうね!ありがたやありがたやー。」

 

化粧を落とすと、若干目の周りが変わったようにも見えるけど、かわいらしい顔だった。

 

ぼく「おけ。もう寝てていいよ。疲れたでしょ?」

 

寝ててくれ、という願いを込めて風呂場へいく。冗談ぽく一緒にはいるか聞いてみたかったけれど、言えなかった。言えるわけがない。チキンボーイに言えるわけがない。

 

アカネ「一緒に入ってあげなくてだいじょうぶ?背中ながしてあげるよ」

 

へへ、っと言う声が聞こえたけれど、また聞こえないフリをしてしまった。いつもより急いでシャワーをあびる。疲れている、早く寝たい。ドライヤーの場所をおしえてなかったことに気が付いた。

 

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すぐに出てくると、つけっぱなしのテレビを見ながら、くつろいでいるアカネが見える。

 

ぼく「おつかれ!ひゃー、長い一日だったぜー。ドライヤー、あのへんにあるし、適当に使って。」

 

女の子が家に泊まるときはマニュアル、とかいう謎のマニュアル本を買って読んだときに、女の子はドライヤーがいることをしった。うちに女性用のシャンプーがなかったけど、どうしたんだろう。まあいいや。リンスはなぜかある。使わないけど。

 

アカネ「ありがとう!大輔くんて、女の子のきょうだいいる?」

 

ぼく「いや、兄貴がひとり。妹とかほしかったわー。」

 

アカネ「そっか。ふーん。そうなんだ。ドライヤーかりるね。」

 

意味深な返事をしてくる。女の子を泊めるのなんて慣れている風に装えただろうか。なにせ初めてだ。電気消したあと、話しかけていいのだろうか。

 

ドライヤーの音が聞こえるなか、クレジットカードを止める手続きだとか、銀行カードの再発行だとか、いろいろと考える。自分のことのように。

 

アカネ「ありがと!大輔くん、髪短いからもう乾いてるね!」

 

そういいながら、頭を触ってきた。本人は思った以上に楽観的だ。財布をなくしたくらい、どうってことない。そんな様子に、こちらも明るくなる。こんなこと付き合ったら楽しいだろうな、と思う。

 

ぼく「おっけー、そろそろ寝ますかね。疲れたでしょ?ベッドつかっていいよ!おれ、このへんで寝るし」

 

電気を切ろうとして、アカネがまた驚くことをいいだす、聞こえないフリはもう使えなそうだ。

ダーカンプの夢の跡って?
ブロガーによるリレー形式の長編小説。順番に書き手が思うがままに物語の続きを書いていくことで成立する筋書きのない物語です。書いている私たちにもその行く末は全く予想ができない、そんな試みです。
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